
投資で一番難しいのは「始めること」ではなかった
FIRE(経済的自由)という言葉が一般的になり、投資は特別な人のものではなくなりました。SNSやYouTubeを開けば、「〇年で資産〇千万円」「20代でFIRE達成」といった華やかな情報が溢れています。
しかし、私が20年以上投資を続けてきてたどり着いた結論は、世の中の風潮とは少し違います。
投資で一番難しいのは「稼ぐこと」ではなく、「続けること」です。
私は投資のプロではありません。特別な才能があったわけでもありません。それでも、ITバブル崩壊、リーマンショック、コロナショック……数々の荒波を乗り越え、一度も市場から退場せずに生き残ってきました。その結果、詳細はお伝えできませんが、私は現在日本人の平均以上の金融資産保有額の資産を築くことができています。築き上げた方法は株などによる投資です。
この記事では、「なぜ普通のサラリーマンである私が途中退場せずに20年間も投資を続けられたのか」。その投資哲学と、これからFIREを目指す若手サラリーマンが持つべき「負けない思考法」を、私の実体験を交えてお伝えします。
2001年、中国株との出会いが教えてくれた「投資の可能性」

私が社会人になったのは2001年。当時は「社会人になったら日経新聞を読むものだ」という私のよく分からないこだわりがあり、日経新聞である理由はなく紙面をめくる毎日でした。
記事の内容はよく覚えていませんが、当時の私の目を釘付けにしたのが戸松信博さんの「中国株の本の広告」でした。
そこには「戦後すぐのSONY株を持ち続けていたら、今頃億万長者になれた。今の中国は、まさに戦後の日本と同じ成長期にある」という趣旨のメッセージが書かれていました。
「今やらなければ、一生に一度のチャンスを逃すかもしれない」
若さゆえの勢いで証券口座を開設し、中国株へ投資。結果として、20代前半には約200万円の利益を得ることができました。〝確定申告してる俺カッコいい⤴︎〟と思った時でもあります。こういった経験が「投資は今までと違う経験をさせてくれる」と肌で理解する決定的なきっかけとなりました。
これを機に、『金持ち父さん 貧乏父さん』やピーター・リンチの著作を読み漁り、目先の利益ではない「投資の本質」を学び始めました。
当時一人暮らしの時に夜な夜なやっていたシーマンは言いました。
あれ欲しい、これ欲しいって思うだろ?それはお前がお金に使われてんだよ
マイクの調子が悪いせいか、ゲームの癖にたまに無視するシーマンの言葉を今でもはっきり覚えています。私はお金に使われる立場ではなくお金を使って働かせる立場であろうと思ったのもこの時期です。もちろん管理者として全て自己責任になりますが。
なぜ私は20年間も投資を続けられたのか?5つの鉄則

投資の世界では、数年で資産を10倍にする人が脚光を浴びます。しかし、その裏で多くの人がひっそりと退場しています。私が20年間生き残るために守り続けてきた哲学を紹介します。
1. 「自分は選ばれた投資家ではない」と自覚する
投資を始めると必ず「もっと儲けたい」という欲が出ます。しかし、私は早い段階で「自分は普通のサラリーマンであり、天才投資家ではない」と決めました。だからこそ、大勝ちを狙うのではなく、徹底的に「負けないこと(退場しないこと)」を優先するスタンスを貫いています。
2. 利益よりも先に「最大リスク」を考える
私は投資をする際、「いくら儲かるか」よりも先に「最悪の場合、いくら失うか」を考えます。その損失を許容できるなら投資する、できないならやらない。この地味な判断基準が、20年の継続を支えてきました。
3. 「余裕資金」の徹底
生活に必要なお金で投資をすると、価格変動に心が支配されます。私は「なくなっても生活が破綻しない余裕資金」以外は絶対に投資に回しません。だからこそ、暴落時も冷静でいられたのです。
4. 理解できないものには手を出さない(FXでの痛恨の失敗)
かつて「儲かるらしい」という噂だけでFXに手を出したことがあります。結果は惨敗。口座に入れていた資金がまるまる消えた時、嫌な汗が止まらなかったのを今でも覚えています。「理解していない投資は、お金以上に精神を削る」。この教訓は今も生きています。
5. 簿記1級の知識:金利という考え方
私は日商簿記1級の勉強した時期があります。試験を受けた時〝今まで俺が勉強してきたのは本当にこの試験?〟というほど全く理解できていませんでしたが、「年金原価係数」の考え方は今でも鮮明に覚えています。簡単に言えば、「若い頃の100円は、歳をとったときの100円よりも価値が高い」ということです。 なぜなら世の中には金利が必ずついてくるからです。金利はプラス面(貯金や投資)では味方になり、マイナス面(ローンなどの借金)をすれば最強の敵になります。だからこそ「投資は早く、借金は遅く(私はしない)」を徹底しています。
暴落をどう乗り越えたか?(リーマンショックとその後)
投資家にとっていい時は金額が増えたスマホの画面を見ながらお酒を飲むとこれほど旨いものはないんですが、逆に起こりうる暴落は私にとって試練です。私もリーマンショックを経験し、資産の評価額が半分近くまで減っている溶けるのを目の当たりにしました。
動揺しなかったと言えば嘘になります。しかし、そんな時にいつも自分に問いかけるのは「投資した時の目的(FIRE、長期形成)から外れていないか?」という一点です。答えが「YES」ならば気にせずただ続けるのみです。
そういった大きな暴落を経験してしまうと、その後の下落(直近のトランプ政権時の変動など)に対しても「あの時(リーマン)よりはマシ」と構えられるようになります。「退場せずに市場に居続けること」自体が、投資家としての最強のスキルになるのです。
リスクは風邪みたいなもの。寒い日にTシャツで外に出て行くから風邪をひく。だったらあらかじめ暖かい服を着て外に出るか、風邪を引いた時の備えをしておけば怖くない。
ある本で私は読みました。常にこれを頭に置いています。
FIREを目指す私の最新スタイル「新NISAと特定口座」
20年の紆余曲折を経て、今の私の投資スタイルは非常にシンプルです。
- 新NISAを最優先: 非課税のメリットを最大限に活かしたオルカン(全世界株式)
- 余力があれば特定口座: 余剰資金をさらに積み増す。(特定口座のオルカン)
卵は同じカゴに入れるな
これはリスクを投資の表す有名な言葉です。オルカンはこれが実現できる商品です。決して欲張らず全世界の成長に長く乗る。それが、私のサラリーマンがFIREへ到達するための最も再現性の高いルートだと確信しています。
FIREを目指すなら「退場しない投資家」であれ
投資で成功するために必要なのは、特別な才能でも、裏情報でもありません。
- 市場から退場しないこと
- 淡々と続けること
- 自分なりの投資哲学(ルール)を持つこと
ライオンを被ったとある学長のお言葉を借りるとすれば今日が、あなたの人生で一番若い日です。焦って無茶なリスクを取る必要はありません。まずは10年、20年と市場に残り続けることを目標にしてみてください。その先に、あなたが望むFIRE(経済的自由)が待っています。


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