〜初めて部下を持ったあなたへ。自ら考える部下を育てるための実践ガイド〜

はじめに
部下育成で悩んでいる管理職の方は多いはずです。私も初めて部下を持ったとき、「指示を出しても同じミスが繰り返される」「言われたことしかやらない」と頭を抱えました。そこで取り入れたのが定期的な1on1です。1on1は正しく運用すれば、部下の自律を促し、結果的に上司の負担をぐっと減らします。近年、多くの企業で導入が進んでおり、有効に使えば部下のキャリア自律や信頼関係構築につながるという調査結果も出ています。
1on1の目的を明確にする(前提)

まず大前提として、1on1は「指示伝達の場」ではなく「部下が自ら考え行動できるよう支援する場」です。目的を事前に伝えることで、ただの報告会で終わらせず、成長につながる時間にできます。私の場合、最初に「今日の1on1はあなたの考えを聞く時間です。私の役割はサポートです」と伝え、役割と期待値を共有しました。
1on1の進め方(シンプルな流れ)
1on1は続けることが重要なので、負担にならないテンプレで回すのがコツです。私が使っている基本フォーマットは次の通りです(所要時間:30分が目安)。
- アイスブレイク(1〜3分)
- 今日話したいことの確認(部下が主導)
- 現状の把握:業務の進捗・課題(部下が説明)
- 深掘りと気づきの支援(上司は質問で導く)
- 次のアクション(いつまでに何をするか明確化)
- 記録(要点を短く残す)
ポイントは「話す割合を部下8割、上司2割」にすること。上司は答えを教えるのではなく、問いを投げかけて部下の思考を引き出す役割に徹します。
具体的な質問例(場面別)
以下は私が実際の1on1でよく使う質問例です。状況に合わせて使ってください。
- 現状把握系
- 「今、最も優先している仕事は何ですか?」
- 「進捗で心配な点はありますか? サポートが必要な点は?」
- 内省/気づき系
- 「今回うまくいった要因は何だと思いますか?」
- 「もう一歩良くするためには何ができそうですか?」
- キャリア/成長系
- 「今後どんなスキルを伸ばしたいですか?」
- 「3年後にどんな仕事をしていたいですか?」
- モチベーション/コンディション系
- 「最近、仕事で一番楽しかったことは何ですか?」
- 「ワークライフバランスはどう感じていますか?」
「考えさせる」ための小技:クイズ形式の導入

指示待ちの部下には、私の経験で効果があった手法が「クイズを出す」ことです。具体的には、課題やシチュエーションを与えて「私がどう答えると思いますか?」と問い、部下に答えさせます。違っていれば「正解は〜」と答え合わせをする。この繰り返しで“考える習慣”が育ちます。実際にこの練習を続けた部下は、次第に報告の段階で自分の考えを添えてくれるようになりました。
報連相(ほうれんそう)は仕組み化する

私は1on1以外にも「報連相のルール」を事前に決めておきました。例えば「困ったらまずチャットで一報→解決できなければ1on1で相談」という流れです。これにより、無駄な指示待ちが減り、部下が自律的に判断する頻度が増えます。
記録とフォロー(効果を残す)
1on1で出た結論やアクションは必ず短く記録しておきます。次回1on1の冒頭で前回の振り返りに使うと、継続的な成長が見えやすくなります。調査でも「部下が自ら目標やアクションを立てた時に1on1が効果的」とされており、記録はその有効性を高めます。
よくある悩みと対処法
- 「話が続かない」:事前に短いアンケート(3問程度)を送って話題を作る。
- 「時間が取れない」:隔週30分にして、重要度に応じて頻度を調整する(週次→隔週でOK)
- 「部下が本音を話さない」:信頼関係構築は時間がかかるので、雑談の時間を1〜2分残すなど“人間性”に触れる場を作る。
まとめ(今日からできる3つの習慣)
- 目的を共有する:1on1は「育成」の時間であると冒頭で伝える。
- 問いを投げる:答えを与えるのではなく、考えさせる質問をまず投げる(クイズ形式も有効)。
- 記録して次回につなげる:短いメモを残し、振り返りを習慣化する。
1on1は万能ではありませんが、適切な目的設定と継続、そして「上司が問いを立てる」態度を保てば、部下は徐々に自分で考え動くようになります。まずは週〜隔週ペースで30分を目安に、今日から一つずつ試してみてください。
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